どーも!パンブロガー福介です ヾ(・_・;
今回はよく見かけるけどよく分からない「石窯」について。
最近多くのパン屋さんで「石窯」をセールスポイントにしてお客さんを呼び込もうとしています。
店名に入っているところも多いですよね。
一番よくあるパターンが「石窯パン工房~」
確かになんとなく美味しそうなイメージがあります。
そして「表面のクラストはパリッと中はモッチリ焼き上がります」が決まり文句。
でも、石窯だとなにがいいの?ってところが気になりますよね。
そもそも石窯とはなんぞや。
本当に言葉通り「石の窯」なの?
石窯で検索すると大体こんな感じの画像が出てきます。
石だったりレンガが積み上げられていて小さい鉄の扉。
薪火で加熱するタイプ。
これが「石窯」です。
パン屋さんというよりピザ屋さんのイメージの方が強いですかね。
実際、街のパン屋さんなんかはもちろん薪火ではなく電気だったりガスです。
薪火のところもあるかもしれませんが、田舎の方なら可能でも都市部はなかなか難しいです。
あと薪って都市部で手に入れるのはとても難しいです。
電気が熱源の石窯が一番メジャーです。
安全ですし、使い勝手もいいですよね。
じゃあ石窯じゃないって感じもしますが、しょうがない部分も多々ありまして。
石窯は昔のものっていう言い方も変ですが、昔の人がパンなど長時間焼成が必要な食べ物を作るために、作ったものです。
石やレンガ、粘土などを積み上げて蓄熱できる空間を作ったのが始まりなんです。
なので現代では非常に使い勝手が悪い場所をとる、超重量のオーブンでしかないです。
実際、パン屋さんが使用している石窯もお客さんから見える部分には石をあしらったり、デザインしたりしていますが石の裏は普通に鋼板とかセラミックコーティングされた金属板のものも多くあります。
石を積んでるわけではなかったりします。
本当の石窯を使っているパン屋さんなんてまだまだ少数派じゃないでしょうか。
またパン業界の規定ではオーブンの炉床が5センチ以上のものを石窯と呼べます。
というか呼んでいます。
(通常のオーブンの炉床は1センチ程度)
炉床とはオーブン内の天板やパンをのせる床部分です。
じゃあ「石窯」って名前だけ?というとそんなことはありません。
きちんとした特徴があるオーブンです。
ここではきちんとした「石窯」の説明をさせていただきます。
石窯の一番の特徴は蓄熱量の多さです。
蓄熱量とは字の通り、その窯が蓄えている熱の量ですね。
蓄熱量は重量に比例するので、石を積み上げて作られた超重量の石窯は一般のオーブンと比べて蓄熱量が非常に多いです。
炉床が5センチ以上を石窯と呼べる理由もここにあります。
蓄熱量が多いとなにがよいかというと
・窯内の温度が低下しづらい
・火通りが高まる
・焼成時間が短い
・上面、側面のクラストが薄くなりやすい
・燃費がよい
・下火が効く
などがあげられます(ちょっと専門的な感じになってわかりづらいかもしれませんが)
そして遠赤外線の放出があります。
パン屋さんなんかでもここを一番押してきますよね。
この遠赤外線は非常に熱変換効率が高いためパンの表面はとてもパリッとなります。
これは大切です。
ただね。
パンの内側から熱せられるため内部はもっちりしっとりです!というのは間違いです。
遠赤外線といえどもあくまで輻射加熱(放射加熱)と呼ばれる熱の伝わり方なので、外側から内側に伝わります。
内側からも加熱できるのは電子レンジだけです。
以上が石窯のメリットです。
ちょっと分かりづらいところもあるかもしれませんが大体こんな感じです。
良さそうなオーブンですよね。
もちろんデメリットもあります。
・価格が高い
・場所をとる
・移動させられない
・扱いが難しい
特に一番最後。
職人泣かせの窯であることは間違いないです(体験済み)
「石窯」の説明は以上です。
分かったようなよく分からないような。
石窯は素敵な窯だと思います。
ただ誤解していただきたくないのは、すべてのパンが美味しく焼けるということではありません。
菓子パンは下火が強すぎてうまく焼くことが難しかったり、クロワッサンやペストリーはコンベクションオーブンで焼成した方がきれいに焼き上がりますし美味しいです。
などなど。
そうは言ってもこれらのハード系やケース物は間違いなく石窯で焼いたものの方が美味しいんですけどね。
もっと石窯のパン屋さんが増えてくれると嬉しいですね。
それではヽ(´∀`。)ノ