Breadroom    

~パン教室兼おうちパン作り研究室~

お子さんがパン屋になりたいといったら全力で止めましょう。

 

どーも!パンブロガー福介です ヾ(・_・;

 

最近友達というか知り合いの方から、きかれたんです。

「子供(高校生)がパン屋になりたいと言ってるんだけど、どう思います?」

ざっくりですけどこんな感じ。

 

パン業界で働き始めてもう12年。

まだまだ未熟者ではありますが、やっぱりパンの業界に対して色々と思うところはありまして。

 

今回は一部ではありますがパン業界のお話です。

 

まず、「パン屋」さんの定義というか。

パン屋さんはおおまかに二つに分けられます。

 

一つはホールセールベーカリー。

あまりなじみのない言葉ではあるかと思いますが簡単にいうと工場でパン作って、コンビニやスーパーに卸しているパン屋さん。

最大手は山崎さんですね。

 

もう一つはリテイルベーカリー。

お店でパンを作ってそこのお店でパンを販売するパン屋さん。

一般的に「パン屋」ときいて連想するのはこちらだと思います。

 

ベーカリーとは「パン屋」の英語バージョン。

ちなみにフランス語だと「ブーランジェリー」、ドイツ語だと「ベッカライ」です。

 

自分が働いているのはリテイルベーカリーです。

自分でいうのは少し嫌なんですが一応パン職人です。

 

「パン屋さん」てなるとほぼリテイルベーカリーのパン職人さんのことを指すんだと思います。

幼稚園だったり小学校低学年の子供の将来の夢ランキングでは結構上位にいますよね。

TVで人気店の特集があったり、世界大会に参加する職人さんたちの模様が放映されたり。

グローバルな仕事でもありますし、確かに華やかなイメージがあるのかもしれません。

楽しそうとか、やりがいがあるとか。

 

 

 

で、実際の現場の話をさせていただきますと (o・д・o)。

(愚痴だらけになったらすみません)

 

リテイルベーカリーで自分が経験した現場と、パン業界の友達からきいた話がメインなので偏ってしまうかもしれませんがご了承下さい。

先輩方からきかされた昔の話は省きます(だいぶ環境は変わったので。昔はさらにひどかったらしい)

 

・拘束時間

働き方改革法案が可決されましたがそんなのまったく無縁な業界です。

職人の世界ですし、技術と知識は経験でしか身に付きません。またお客様に美味しいものを食べていただくためには手間暇惜しんでいられません。

結果、ずっと店にいたりします。

時計の短針1周が基本ですかね。

 

一番ひどい話は朝4時出勤で、終わるのが夜の12時。20時間拘束。これはまだ修行時代で仕事が遅いとか先輩の仕事を見て覚えないといけない環境だったなど要因はありますが、それでもね。大変ですよね。

お休みはお店が定休日の日だけ。週1日。

これは関東の超有名店のお話です。

その方は疲労と寝不足で、仕事が終わり家に帰ってきて気を失いうつ伏せに倒れて前歯を二本折り、ご両親が出てきてお店を辞めました。その当時は21歳だったとききました。女性です。

 

・体力勝負

拘束時間が長い時点ですでに体力は必須なんですが、仕事自体もなかなか。

パンは主原材料は小麦粉です。粉袋は基本25キロ体が一般的です。

10キロ体もだいぶ普及してきていますがまだメインは25キロ体です。

つまり25キロの粉を動かす、運ぶということです。

 

また製造室はパンの快適な温度、正確にはパン酵母にとって快適な温度に保たれています。大体28℃くらいに設定しているお店が多いです。

その中で全力で動き回ります。

汗をかかないわけがない。

 

自分の体験では入りたて当初がやはりしんどかったです。

特殊な動きもたくさんありますので慣れるまでは、ほんと常に全力で時間に追われながら動き回ってました。朝6時から夜の9時くらいまで。

休みはきちんとあったのでまだ体は持ちましたが、休みの日は体は動きませんでしたね。汗もかきますし、暑くてしょうがないので、空き時間を見計らってというか空き時間を無理やり作って、冷凍庫に入って体を冷やすというすごいことやってました。体から凄い湯気が出るんですよ。強豪のスポーツ高校の練習みたいな感じでした。

 

・怖い人がいます

職人さんのイメージってどんなでしょう?

笑顔を絶やさない、動きが優雅で、周りに気配りができる素敵な人だと思っている方はほぼいないんじゃないでしょうか。

現場の責任者クラスの職人さんは

怒鳴る、投げる、殴る。

みたいなイメージですかね。

 

その通りです。

今は「コンプライアンス」という素敵な言葉がありますが、自分が入ったくらいのころはまだまだひどかったです。実際殴られてましたし。熱い人ほどそんな感じですね。

今はだいぶ減ったとは思いますが、それでもそういう話はたまに耳に入ります。

 

・高い離職率

今までの流れで察しはつくと思いますが、離職率が非常に高い業界ではあります。

全く違う業種に転職する人、よそのパン屋に行く人半々くらいのイメージですかね。

自分は比較的大手のリテイルベーカリーですが、50人以上いた同期は12年目で残っているのは5、6人です。

 

・低賃金

全ての職種の中で飲食業界の賃金は下から2番目だそうです。

その飲食業界の中でパン屋は下から2番目だそうです。

リテイルベーカリーでも大手と個人店ではもちろん変わりますが、それが現実です。

さらにこの統計はパン業界なのでホールセールベーカリーも入っています。ほんと厳しいです。(ホールセールのほうが給料はだいぶ良いので)

 

 

ネガティブなことを書き続けてきたましたが、これが事実で現実なんですよね。

なので自分は「パン屋」になりたいという方がいたら全力で止めます。

もしこれ読んでらっしゃる方の周りにそういう人がいたら全力で止めましょう。

 

 

ただ、やりがいと夢があるのは間違いないのでたちが悪いんですよね。

人気店で非常に儲かっているお店はありますし、奥が深い世界なのでパンへの興味は尽きないですし、自分が作ったパンをお客さんが食べて美味しいと言ってくれたらほんと嬉しいんですよ。

独立の道もありますし、パンの講師になってもいいですし。

パンの世界大会って何個もありますし、コンテストもたくさんあります。

そもそもパン作りって面白いんですよね。

 

ただ自分がそう思えるようになったのは、入社してからだいぶ経ってからです。

一人前になるまでには当然時間がかかります。

知識と技術と経験がどうしても必要になります。

その過程で怒鳴られることも殴られることもあるかもしれません。

そんなしんどいところ乗り越えられれば、間違いなく楽しい仕事なんですよね。

おすすめしませんけど。

 

まぁこんな話をしましたよって話でした。

 

それでは~( ̄ー ̄)ノ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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