Breadroom    

~パン教室兼おうちパン作り研究室~

100円パンへの素直な気持ち

 

仕事帰りに車を壁にこすって絶賛へこみ中。

どーも!パンブロガー福介です ( ꒪﹃ ꒪)

 

ネガティブ気分の時はネガティブな話題。

どんよりしたくない人は、読まないでね。

 

さて。

タイトルはおおげさですが、最近思っていること。

こないだテレビで取り上げられていて「へー」と思って見ていたのですが、100円パンのお店があるんですよ。

ほぼ全ての商品が100円。

あんぱんもクロワッサンもメロンパンもソーセージロールもカレーパンも全て100円。

100円じゃないものは食パンだったり大きいサイズのパンが多いんでしょうか。

会社は違いますが、近所にも同系統のパン屋さんがあるので存在は知っていましたし、全国でじわじわ増えているらしいんですよね。

「100円パンが100種類」みたいなうたい文句。
確かに魅力的に感じますよね。

安くて種類が豊富。

美味しければ言うことないですよねー。

 

ただパン屋的には「正直これどうなの?」って思っちゃうんですよね。

テレビで特集されていたお店は、現在は九州に47店舗あり、全国だと49店舗だったかな?

10年前からベーカリー事業に参入して10年で売上が10倍に!

金額まで公表されていて、10年前は売上が1億5千万だったのが、今では15億!らしいです。

数字だけ見ると確かにすげーなぁって思うんですがよくよく考えてみるとこんな感じになるんです。

 

全国で約50店舗。

単純に15億を50で分割すると1店舗あたりの年間の売上が3千万。

ひと月で換算すると250万。

定休日が何日かは分かりませんが、週一で定休日があると考えると1日の売上が10万弱。

1個100円だとすると1日1000個販売している計算になります。

1000個パン作るのって結構大変です。

セントラル工場があってそこで生地を全店分仕込んで店舗に配送しているそうなんですが、店舗でも成形焼成の工程、仕上げ工程、そして販売員が必要になります。

しっかりシステムがあって効率化されているとはいっても、工場での人件費と設備費、現場での人件費、売り場の家賃、光熱費、さらに配送コストがかかります。

儲かっているとは思えないんですよね。

ぎりぎりペイできているくらいなんじゃないかなぁ。

設備の減価償却も絶対まだ終わってないでしょうし。

まぁざっくりとした計算なのでなんとも言えませんが、それでも「ほんとに儲かってる?」って思ってしまいます。

 

何が言いたいかというと、パンの値段を安くしすぎ!ってことです。

デフレ全盛期、ディスカウント系があふれているこのご時世なので、これも時代の流れなんでしょうが、パン業界にとっていいことはひとつもないと思うんです。

パンを作るには、技術も設備も必要で、作るのには時間もかかりますが、商品自体は生鮮食品なので日が経てば味が落ちていきます。

それでもパンにしかない風味や食感を求めたり、おやつなどの中食としての需要もありますし、今のパンブームがあります。

現在のパン業界は、人手不足、原材料の高騰、賃金の高騰でアップアップのお店が非常に多いです。

当然、給料だって安い。

でも拘束時間は長い。

もうしんどいわ~。

パンを安くたたき売っちゃっていたらしんどくなるだけ。

リテイルベーカリーが、ホールセールより安く売っているという時点でもう終わってると思います。

(ホールセールは大規模工場による大量生産ができるので、原材料を安く仕入れることができ、販路もスーパーやコンビニなどたくさんあるので薄利多売戦略が成り立つので)

 

100円パンに否定的だから言うわけではないんですが、実際100円パンは美味しくないと思ってます。

手間もかけられないし、いい原材料を使えるわけないですし、作業も雑になりがちですから。

品質も見ただけで「おいおいおい」って感じます。

原価下げるために、商品のサイズを小さくしている感があるんですが、作り手からすると小さいサイズの商品の方が作るの大変なんですよね。

実際同じ生地を使った商品って大きいサイズほどグラム単価は低いです。

なので買うときは大きいサイズの方がお得です。(食べきれるかが問題になってきますが)

レジだって、大変です。

10万円の売り上げのためには1個100円のパンを1000個レジでうって、包装しないといけませんが、価格が200円だったら500個で済みます。

 

「格差」がキーワードとなっている現代ですが、パン業界も同じことが言えます。

高級路線と低価格路線の二極化が進んでいくのは仕方がないことだとは思いますが、なんか悲しいですね。

パンはカテゴリーも豊富でバラエティ豊かなアイテム量があるので、価格帯での棲み分けはありますが、店によってぱっと見似たような商品が価格が3倍違うということちょいちょいあるので、ややこしくなってる印象です。

 

「安くて味はそこそこでいいよ」っていう感覚はよく理解できるんですが、パンという食べ物の特性を考えるとそれは違うと思ってしまいます。

手間がかかる発酵食品で、設備投資に大金が必要となる食品なんですよね。

「適正価格で、しっかりとした商品を作るべきだ!」というのが業界での共通の認識ではないでしょうか。

適正価格がどれくらいかっていうのも難しいですが、だいたい売価の3割が原価っていうラインが適正だと言われています。

200円の商品だったら原価が60円で荒利140円。

140円から、人件費、光熱費、家賃、もろもろ諸経費を差し引いて残りが利益という感じです。

生活がかかってますから適正価格にして全く売れないんじゃ困りますが、それでも原材料、技術、包装、サービス、焼き立ての訴求などの付加価値をしっかり提供して安易に価格を下げない努力は業界として必要なことだと感じます。

 

まぁそれが難しいんですけどね。

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