どーも!パンブロガー福介です ヾ(・_・;
今回は食パンの食べ比べ第2弾となります。
超絶大人気の「イーストフード、乳化剤不使用の食パン」と通常の食パンの食べ比べです。
パスコさんの「超熟」もそうなんですが、爆発的な人気の大きな要因として「イーストフード、乳化剤不使用」があります。
共にだいぶ嫌われ者的なポジションにいる「食品添加物」にあたるので、使用してない方が体に良さそうだ!とか、使用してない方が美味しそうだ!とか。
間違いではないのかなぁとは思いますが、正しいとも言い切れない。
そもそも「イーストフード」「乳化剤」についてしっかり説明できる人ってそんなに多くないですよね。
パン業界の人でも残念ながらそんなに多くないです。
そんなに悪い奴でもないんですよ。
「イーストフード」も「乳化剤」も。
体にいいとは言いませんが、安全性もしっかり世界レベルで証明されてますし、なんでこいつらを使うかというと、その方が美味しくなるから使っているわけで。
なんとなく避けていらっしゃる方もいるかもしれないので、どんな特徴があるのかなんかを分かってもらえたらいいなぁって感じです。
この感じだと、自分はがっつり「イーストフード、乳化剤」擁護派だと思われるかもしれませんが、決してそんなことはないです。
好きなホールセールの食パンは「超熟」です。
食べ比べに協力してもらうのはこちらの2つ。
共に大手ホールセールベーカリーの商品です。
フジパンさんの「本仕込」と第一パンさんの「モーニングセレクション」です。
消費期限は1月19日で統一しました。
見づらいですかね。
見づらいですね。
左が「本仕込」で右が「モーニングセレクション」です。
「本仕込」は「イーストフード、乳化剤不使用」。
「モーニングセレクション」は原材料表記にある通り、「イーストフード、乳化剤」を使用していますね。
「食品添加物」は食品衛生法で表示義務があるので、使用したら必ず、原材料に表記しなくてはいけません。
イーストフード、乳化剤とは?はこちらを読んで頂ければなんとなく分かってもらえるかなぁと。
www.panpedia.work
www.panpedia.work
厳密な比較という意味では、イーストフードと乳化剤以外のすべての材料、配合は揃えるべきなんですけどねー。
なかなかそこまでできないので、今回はこれで我慢。
本題の前に言いたいことがありまして。
近所のスーパーで買ってきたんですが、やっぱり驚きなんですよね。
この食パンたちの価格。
税抜きで「本仕込」は¥149、「モーニングセレクション」¥79!
もう安すぎです!
食パン1斤を買うのに、100円玉出しておつりがくるなんておかしいんじゃない?
「本仕込」だってメーカー希望小売価格は、確か¥250前後。
いやー、すごいですよね。
今流行っている高級食パンたちは大体1斤¥400~¥450。
百貨店や駅ビル、ショッピングモールなどによく入る、有名ベーカリーで大体1斤¥300~¥350。
超有名個人店でもそれくらいします。
普通の街のパン屋さんなんかでも、1斤¥200をきっているところはそんなにないですし、あったらすごいなぁと思ってしまいます。
怖いわー。
で、本題です。
フジパン「本仕込」は素材にこだわった、「乳化剤、イーストフード不使用」の超有名商品です。
対する第一パン「モーニングセレクション」はいわゆる普通の食パンです。
知名度もそんなにはないかな。
以降は「本仕込」をH、「モーニングセレクション」をMと表記します。
外観から行きましょうー(/・ω・)(/・ω・)
まず、焼き色はHのほうが濃いですね。
しっかり焼成されてます。
いい色ですねー。
ただHはケービングという現象が起こってます。
腰折れとも呼びますが、表面の生地がへこんでしまうというか、しぼんでしまうというか。
大型のパン、特に食パンなんかで起きやすい現象です。
対してMは上部がややケービングしてますが、程度はだいぶ軽め。
そして内相です。
形でいうと断然Mのほうがきれいですね。
ケービングの影響でだいぶ見た目が変わります。
これも「乳化剤、イーストフード」の影響が関係しています。
使用した方が形がきれいになりやすいです。
あれに似てます。
野菜とか果物みたいな農産物。
たとえばキュウリだったら、まっすぐで太さもある程度均一のほうが、きれいに見えますよね。
だからそういうもののほうが、いびつな曲がっているようなきゅうりよりもよく売れます。
でも自然のものはどうしても形をコントロールできないので、農薬なんかで、ある程度のできる範囲でコントロールする。
農家でも売り物にならないと困るので、農薬を使わざるを得ない。
3年前くらいに聞いた話ですが、農地当たりの農薬散布量は日本は世界第1位だそうです。
2位が韓国。
イメージがあまりよくない中国の農産物ですが中国は31位くらいでした。
日本や韓国では形のよくないものは売れないからだそうです。
もちろん安全性に問題はないですが、とても意外だったのでよく覚えています。
現在は無農薬、オーガニックなものが人気ですが流通量でいったら大した量ではないですよね。
価格も高い。
似たような構図かもしれません。
話が逸れました。
並べた写真だとこんな感じ。
ここだけ逆になっちゃってます。
左がMで右がHです。
色があきらかに左のほうが白く見えますね。
きめが細かいほうが、光の反射で白く見えます。
Mのほうが気泡(小さい穴のぷつぷつ)が細かいので、柔らかくひきが弱い食感ということが分かります。
ふんわり感もMのほうがありますよね。
実際に触ってみると柔らかさはだいぶ違います。
そしてアップ写真。
クラスト(パンの皮部分、食パンでいったらみみです)の厚さもだいぶ差があります。
Mのほうが薄いですね。
クラスト部分、つまりみみの部分はクラム(パンの内部)に比べたら硬くひきがある食感です。
そこの部分でもMのほうが柔らかく、ひきの弱い食感なことが分かります。
ここまでで、モーニングセレクションつまり「イーストフード、乳化剤使用」の食パンのほうが、柔らかく、ひきが弱く、ふんわりした食感だということが分かりますね。
「パンの美味しさの半分以上は食感で決まる。」
この名言?に違和感を覚える人も多いと思います。
自分も最初は「えぇ?」と思ってました。
ただ、10年以上パンを作り続けて、勉強し続けて、パンを食べ続けてると、これが名言だということが分かりました。
今までのヒット商品なんかを見てもそうですし、美味しいと感じる商品をみてもそうですし、そもそも作り手がここに力をいれて商品を開発してるわけで。
パン作りの細かい工程もすべては食感のためと言っても過言じゃないです。
次に官能評価です。
まず、「本仕込」から。
発酵臭は弱め。
焼き色がしっかりついているように、メイラード反応、カラメル反応による美味しそうなパンの香りは強め。
触感も食感も前述のとおりある程度の硬さがあります。
ただパンらしい柔らかさはしっかりあるので、比べたら硬く感じるというレベル。
食感はひきがあり、クラスト(みみ)部分は特にひきがあり、食べ応えがしっかりとあります。
クラムは硬さも影響してややパサつきを感じます。
原材料の風味をしっかり感じられます。
小麦粉生地の特有な風味と、ミルキーな風味も感じられますね。
甘味は最初はそれほど感じませんが、口の中で噛んでいるうちにだんだんと甘味を感じられるようになります。
飲み込むときに感じる甘味が一番強い気がします。
次に「モーニングセレクション」
発酵臭は強めで、甘い香りもします。
焼き色が薄いこともあり、メーラード反応などによる、パンの香りはだいぶ弱め。
触感は非常に柔らかく、フワフワです。
食感も柔らかく、ひきが弱い。
口溶けもよく感じます。
クラスト(みみ)も柔らかく、しっとり感もややあります。
発酵臭と甘い香りが強く、風味も甘い感じが大半です。
味としての甘味も、生地を口に入れたとたんに甘味が広がる感じ。
以上です。
これらの違いは、「イーストフード、乳化剤」の効果によるパン生地の違いにまぁだいたいは合致していました。
再確認。
もちろん好みは人それぞれなので、上記の評価を見てどちらを食べたくなるかは人それぞれです。
ただ日本人の好みに近いのはやはり「乳化剤、イーストフード」を使用している食パンだと思います。
(余談ですが、日本人と欧米人では唾液の分泌量が結構違うみたいで、もう体質的に食べ物の感じ方は異なるらしいです。欧米の人たちの方が唾液の分泌量が多いのでパサつきやしっとり感の感じ方が日本人とは違うそうです。)
そして「パン」に求める食感というのは、おそらく「イーストフード、乳化剤」を使用したものなんじゃないかなぁと思います。
あくまで、どちらがいいという話ではありません。
好みや考え方、財布の事情など色々と選択の基準はあると思いますが、なんとなく「イーストフード、乳化剤不使用」を選んでしまっている方が多い現状はちょっと違うんじゃないかなぁという個人的な お話でした。
それではー( ̄ー ̄)ノ